2018年 07月 22日
東京二期会公演 ウェーバー : 歌劇「魔弾の射手」(指揮 : アレホ・ペレス / 演出 : ペーター・コンヴィチュニー) 2018年 7月22日 東京文化会館


この「魔弾の射手」はドイツ語による、いわゆるドイツの国民的オペラで、森の恐ろしさや悪魔との契約というロマン主義的なテーマに満ちた傑作であり、ワーグナーにも大きな影響を与えた作品であるという音楽史的位置づけは充分理解しているのに、そして、このオペラの序曲は中学生の頃からの私の大のお気に入りであるのに、なぜにこれまで全曲を見る機会がなかったのだろうか。それはやはり、日本では演奏頻度が (少なくとも最近は) 低いという事情はあるとは思うのだが、ふと考えてみると、メディアでのこの作品の人気自体、決して高いとは思えない。例えば、音楽史上の重要作はすべて録音しつくしたかのように思われるカラヤンに、この曲の録音があっただろうか。答えは否である。そう思うと、ベームもこの曲の正規録音はないし、ショルティもバーンスタインも、あるいはマゼールも、それから、ドイツオペラに積極的なメータやバレンボイムも、調べた限りではこのオペラを録音していないようである。カラヤンに関しては、実は私の手元には彼の生涯の全演奏記録なるものがあるのだが、録音はなくとも、きっとこの曲は若い頃から実演ではしょっちゅう振っていたのだろうと思って調べてみると・・・ない。ないのである。カラヤンによる「魔弾の射手」全曲の演奏記録が、一度も。もちろん、膨大なデータなので、私の見落としかもしれない。だが、若い頃からワーグナーやシュトラウスの作品を繰り返し演奏してきたカラヤンが、もし演奏していたとしても見落とすほどの回数しかこの曲を指揮していないとしたら、それだけでも充分意外ではないか。





貴殿のブログ記事を再び拝読することが出来、嬉しく興奮すると同時に悲しくなりました(笑)何故ならば、同じ日の鑑賞が叶わなかったと同時に、御目に掛かれず終いとなったからです。
私は、ペーター・コンヴィチュニー氏のアフター・トークを聴講出来る19日に公演を楽しみ、2回目はなしの予定でしたが、赤く目立つエレベーターと序曲の関係(演出)が面白いと思い、21日も参加することに致しました。
物語りの始まりは4階(地上)、エレベーターのボタン「▼」が現れ下った先は「狼」階です。そして「悪魔の音階」から一変、ワクワクする天国的な旋律「アガーテのアリア」へと移り、エレベーターは「7」階へ。合唱が始まってからは、ずっと6階に停止したままでしたが、狼谷では再び「狼」階に。
そして、感動的だったのは素晴らしいオーケストラと素敵なザイラー氏のヴィオラです。コンヴィチュニー氏曰く、「表題をヴィオラが提示、デュエットとして作曲されているからステージにヴィオラ奏者を登場させた」とのこと。
ザミエル役に元宝塚のトップを迎えると言うアイデアは、本当に見事です。登場回数が多く中性的な魅力が、日本語とドイツ語のバラバラ感を幾らか纏めていたように思います。アレホ・ペレス氏の指揮も、良かったです。
別の場所での「魔弾の射手」公演レポートも、楽しみにしています。私は、ザクセン州立歌劇場で行われたティーレマン氏が指揮の「魔弾の射手」を予習教材に選びましたが、一番気に入っているのは意外や背筋が凍るホラーな狼谷です(笑)ウェーバーが作曲した当時は、ホラーが流行ったそうですね(怖)
そうでしたか。今回、コンヴィチュニーの講演があるのは知っていましたが、何分平日でもあり、参加を断念しました。舞台下手側に設置されたエレベーターについては、確かに何度か昇降していることが表示で分かりましたが、私の鑑賞した最安席では、そこまでの細かい設定があることは皆目分かりませんでした (笑)。そうですね、これはホラーオペラ。何を隠そう、私が自他ともに認めるホラー好きなので、別の「魔弾の射手」公演を見ることができたなら、その点もばっちりチェックする所存です (笑)。ところでティーレマンの来日まであと 3ヶ月ですね。これも楽しみです。

マックスはちょっと弱いと思いましたが、他の歌手、特に女性陣はよかったですね。
大和悠河さんの登用は少しディストラクティングでしたが、彼女のファンも動員できて良かったですね。彼女は宝塚のトップスター経験者としては少し変わり者で通っているようですが、美形でしたね。オペラ好きでおられるようですね。
エンディングがとってつけたような感じのオペラであることを逆手にとった演出も面白かったです。まあ、資本主義的なものが人間の共同体的な営みを壊したのは事実ですから、神と惡魔の交流は、ヨーロッパ的な演出では通奏低音のようなテーマですね。
そうでしたか。ご挨拶できずに失礼致しました。あとから思い出してみて、あれこれ考えてしまうような演出でした。やはりどんなに高尚な演出でも、興行成績が悪くては話になりませんから、今回のような方法は、これからのオペラ演出において、参考となる例かもしれませんね。