川沿いのラプソディ


川沿いの住まいから、音楽、美術、映画その他文化一般を語りつくします。
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メモ帳

東京都 国分寺市・立川市 谷保天満宮、普済寺

このブログで既に採り上げた、今年の 7月15日の準・メルクル指揮国立音楽大学オケの演奏会に向かう途中、せっかくだからそのあたりの歴史的な場所を訪れたいと思った。東京都下の西部の方にはあまりなじみのない私であるが、自宅の近くを流れる多摩川を遡って行ったあたりということもあって、いつも興味があるのである。実際その地域を訪れて記事にしたことも何度かあるし、このブログを始める前にも、この地域の重要な歴史遺産はそれなりに訪れてはいる。だが、調べてみて思うことには、東京都といっても東西に長いし、江戸が大都市として発展するよりも遥か昔、このあたりには既に歴史に登場しているのだということが分かる。今回は、そんな文脈において、初めて訪れた場所を 2件、ご紹介する。実は、事前に当たりをつけていた場所はほかにもいくつかあったものの、道路が混んでいて、予想以上の時間を要したので、2箇所だけにならざるを得なかったという事情がある。なのでまたいつか改めて出直したいとは思っているのだが、それでもこの 2箇所を見ることができただけでも、歴史探訪としてはかなり充実している。最初に訪れたのは、国分寺市にある谷保天満宮。
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この「谷保」は、「やほ」ではなく「やぼ」と読む。そう思うと、この神社の前の交差点を標識に、何やら "Yabo" の "b" の箇所に修正の跡が見えるのは、むむむという感じなのである (笑)。地元でも間違える読み方なのだろうか。ま、そんなヤボなことは言わないでおこう。
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実はここ、関東最古の天満宮なのである。ここでおさらいだが、常識に属する事柄として、全国に沢山ある天満宮、つまりは天神様は、誰をご神体として祀ったものだろうか。答えはこの人である。
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そう、菅原道真 (845 - 903)。遣唐使の廃止を提言したことで、その後の日本の文化の国風化を決定づけた点、日本史上でも重要な人であるが、讒言により九州大宰府に左遷されてしまう。そして、死後怨霊として祟りをなしたとされ、天神として神格化される。この天神を祀った神社が、全国の天満宮なのである。たまたま前々回の記事でも、香川県高松市にある由緒正しい天満宮をご紹介したが、この谷保天満宮も、実は東日本最古の天満宮という、大変由緒ある場所。道真の左遷と同時に武蔵国に配流された三男の菅原道武が創建した天満宮なのである。面白いのは、今の境内は、甲州街道沿いに鳥居が立っていて、そこから坂を下ると本殿があるという構造になっている。だが江戸時代の古道はもっと下の方にあったとのことだし、そもそも当初の場所からは移転されているとのこと。だが、この鬱蒼たる森のような境内には神秘感が満点だ。それもそのはず、いわゆる鎮守の森、この神社の境内の「社叢 (しゃそう)」は、東京都指定の天然記念物になっているのである。放し飼いの鶏も、どこか誇らしげに見える。
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そして見えてきた本殿の前には、天満宮定番の牛の彫像があるが、モダン彫刻風の石造のものと、伝統的な青銅製のものとがあって、人々の信仰を思わせる。
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本殿はそれほど古いものではないのか、文化財指定はされていないようだが、その欄間の彫刻は見事である。
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この本殿に向かって左側の建物の 2階に宝物殿があって、日曜日には無料で開放されている。
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ここで見ごたえがあるのは、2件の重要文化財であろう。まず、1275年に作られた、藤原経朝 (つねとも) の揮毫になる扁額である。「天満宮」と書いてある。経朝は、あの有名な「三蹟」のひとり、藤原行成の 9代目の子孫であるらしい。なるほど味がある字だし、この神社の長い歴史を物語る遺品である。
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それから、やはり重要文化財の狛犬。もともと本殿内に祀られていたもので、鎌倉時代らしい、活き活きとした作品である。よく阿吽一対がこれだけよい保存状態で残ったものである。
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さてこの谷保八幡宮はまた、交通安全発祥の地と言われているらしい。実は明治の時代に、宮様が先導する何台かの自動車による「遠乗会」というドライブツアーがあり、その目的地がここであったことによる。その宮様とは、有栖川宮威仁 (たけひと) 親王 (1862 - 1913)。あの東京広尾の有栖川記念公園は、この宮家の元御用地。以下の 3つめの写真の左側が、その威仁親王である。
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さて、次に訪れたもう 1つの目的地は、これがまたすごい場所なのであった。立川市にある、普済寺である。もともとここは、立川という地名のいわれとなった、立川氏の城館があった場所で、この寺は、1353年に立川氏一族の菩提寺として建てられた。そしてこのお寺の三門に辿り着くと、なぜか、菊のご紋があしらわれた扉の奥に聖徳太子像が見える。
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そして、この表示である。
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こ、国宝!! そうなのである。この寺にはなんと、国宝が存在している。それは上にある通り、六面石幢 (せきとう) というもの。聞き慣れない言葉だが、一体どういうものなのか。本の説明では、「仁王像などを陽刻した秩父石の板石 6枚を組み合わせ、上に笠石と宝珠を乗せた」ものである。だが、これでもまだイメージが沸かないであろう。これは、立川民俗記念館にあるレプリカの写真をお借りしてきたもの。形状はよく分かる。
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そしてここに陽刻、つまり、平らな面から浮彫されて表されているのは、ここで拓本に取られているような六面。つまりは、四天王と阿吽の仁王ということである。1361年に造立された。
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実際この場所に行ってみて分かったことには、日本に国宝数々あれど、彫刻作品として、展覧会で見る機会がまず望めないものは、これ以外にはほとんどないのではないか (もちろん、奈良の大仏とか鎌倉の大仏を除いての話だが)。なぜならこの国宝は、こんな場所に保管されているからだ。
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寺の裏手にある、見たところかなり年季の入った鉄筋の小堂であるが、内部に入ることはできないものの、外を一周することができる。重さがどのくらいあるのか分からないが、そう簡単にはこの場所から動かすことはできないだろう。立川の地にどっしり根をおろした国宝なのである。では私が周囲から撮影した写真で、少しでも臨場感を持って頂きたい。
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これはなかなかに珍しい作品であり、現地まで足を運んで見ることができて、大変に有難いことであった。実はこのお寺、1995年に放火に遭っていて、本堂や、開山である物外 (もっかい) 禅師坐像 (重要文化財であったという) などを焼失してしまったらしい。だが、その後本堂は見事に再建され、境内もこのようにきれいに整備されている。
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関東にもまだまだ訪れていない歴史的な場所がある。これからもそのような場所を訪問することで、歴史の断片に思いを馳せることとしたい。でもこの日は、暑かったー。

by yokohama7474 | 2018-08-18 02:24 | 美術・旅行 | Comments(0)
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