2018年 09月 22日
長野県 諏訪湖近辺 その 1 岡谷市 (旧林家住宅、旧片倉組事務所)
これは林国蔵夫妻。林国蔵 (1846 - 1916) とは誰かというと、この岡谷の地が日本の製糸業の中心であった頃、その発展を築いた三大製糸家のひとつ林家に生まれた人で、創始者、林倉太郎の息子である。因みに三大製糸家のほかのふたつは、片倉家 (兼太郎) と尾沢家 (金左衛門) である。このうち片倉の方は、かつての財閥であり、今でも企業が存続するほか、この岡谷からほど近い諏訪湖のほとりに片倉館という昔の厚生施設 (やはり重要文化財) もある。その片倉館は随分前に行ったことがあり、今回も時間が許せば行きたかったが、それは叶わなかった。このように岡谷では製糸業が盛んであり、この林家の邸宅は、明治 30年代から 10年ほどかけて建造された大変に立派な建物なのである。係の方の説明だと、結局主は完成後ここに 10年ほどしか暮らさず、その後一家は東京に移住して、その後は夏の別荘として使われていただけだという。そのせいだろう、建造から 110年ほどを経ても、あまり生活感なく、当時の姿そのままに保存されている。例えばこのような調度品も当時のものらしく、大変に重いという。
これは下座敷と上座敷の間にある欄間の彫刻。下座敷側から見て、なんと見事な鶴だろうと思ったら、上座敷側から見ると、明らかにそちら側が表で、下座敷側から見えるのは裏側であったことが分かる。