さて、ではこの映画の結末についてはどうか。一言で言うなら、やはり面白いと、私も思う。だが、犯罪の真相は、見て行くうちに段々想像できる選択肢の範囲内ではないだろうか。少なくとも私の場合は、その真相に驚愕することはなかった。だがその一方で、改めて題名を考えてみると興味深い。邦題はなぜか、英語表記とそのカタカナを続けているが、原題は "The Guilty"。高校の英語で習うように、the の後に形容詞をつけることで、集合名詞となる。例えば The Rich なら「富裕な人々」。The Dead なら「死者たち」。なのでこの作品の題名は、「罪ある人々」であるわけだ。この意味は、見た人でなければ分からないだろう。人間は弱い存在であり、また罪深い存在なのである。それゆえにこそ、ともに生きている家族の絆が大事なのである。それこそがこの映画が、さりげなく発しているメッセージであろうと思う (従い、ラストシーンでアスガーがかける電話の相手は、自明であろう)。